LINE運用代行の始め方を一言でいうと、依頼を受ける前の取り決めを順に固めることです。LINE公式アカウントの運用代行を始めるときは、「何を請け負うか」「依頼主からどの権限を受け取るか」「AIで作った配信文をどう確認するか」「契約で何を決めるか」「料金プランは誰の契約でどれか」の5つを、依頼を受ける前に順番に決めておくと迷いません。アカウントも友だちの情報も依頼主のものなので、運用代行は預かった範囲の中で、依頼主が判断しやすい形に整えて動かす仕事になります。
はじめての人がつまずきやすいのは、配信文の書き方よりも手前にある取り決めです。たとえば、配信ボタンを押すのは誰か、ログインに使う権限は何か、プラン費用を負担するのは誰か、といった点が曖昧なまま始めると、最初の配信の直前で止まってしまいます。そこでこの記事では、運用の技術よりも、受ける前に決めることと確認することを中心に整理します。
LINE公式アカウントの権限・料金プラン・メッセージ機能の説明は、LINEヤフー for Business の公式ページで確認できた文言の範囲だけを使い、取得日を2026年10月6日として本文の該当箇所に公式ページへのリンクを付けています。契約の取引条件については公正取引委員会のフリーランス法特設サイトを、個人データの扱いについては個人情報保護委員会のQ&Aを参照しました(各リンクは本文中に示します)。案件の紹介や収入の見込みを約束する内容ではなく、料金や機能は変更されることがあるため、実際に契約する前には各公式ページの現行の表示を確かめてください。
LINE公式アカウントの運用代行とは何を請け負う仕事か
LINE公式アカウントの運用代行とは、依頼主が持つLINE公式アカウントの日々の運用作業を、依頼主との契約に基づいて代わりに行う仕事です。アカウントの持ち主は依頼主のままで、請け負う側は取り決めた範囲の作業だけを担当します。
運用代行という言葉は、広告運用やアカウント開設の支援まで含めて使われることもありますが、この記事では配信文の作成、予約配信、応答メッセージの設定、タグ付けといった、毎月繰り返し発生する運用作業を請け負う場合を扱います。商品の企画や写真撮影、店舗での接客のように、LINEの管理画面の外で行う仕事は含めていません。
AIを使うオンライン秘書として運用代行に入る場合、強みになるのは「依頼主が判断する前の準備を整える」ことです。依頼主から受け取った商品情報やキャンペーンの予定をもとに配信文の案を作り、確認しやすい形にまとめて渡し、確定した内容を管理画面に反映する、という流れです。配信するかどうか、どの表現にするかを最終的に決めるのは依頼主であることを、最初に文章で共有しておきます。
仮の例として、1回の依頼がどう進むかを示します。依頼主から「来月の定休日のお知らせを、友だち全員に月曜の昼に送りたい」と連絡が届いたとします。請け負う側は、定休日の日付と曜日が合っているかを依頼主に確かめ、配信文案を2案作って渡し、依頼主が選んだ案を管理画面に入力して、配信前の確認画面を依頼主に見てもらいます。配信の操作を請け負う側が行うか、依頼主が行うかは、契約で決めた内容に従います。
このように、運用代行は文章を書く力だけでなく、確認と取り決めの運び方が品質を左右します。以降の章では、請け負う業務、権限、AIの使い方、配信前の確認、契約、料金プランの順に、決める内容を具体的に見ていきます。
運用代行で請け負う4つの業務:配信文作成・予約配信・応答メッセージ・タグ付け
運用代行で最初に請け負いやすい業務は、配信文の作成、予約配信、応答メッセージの設定、タグ付けの4つです。いずれも管理画面で行う作業で、依頼主の確認を挟みやすい特徴があります。
4つの業務は、受け取る材料と納品物が違います。業務名だけで引き受けると範囲がふくらみやすいため、次の表のように「何を受け取り、何を返すか」で整理しておくと、見積もりや契約の話に移りやすくなります。
| 業務 | 依頼主から受け取る材料 | 請け負う側の作業 | 依頼主が決める点 | 返すもの |
|---|---|---|---|---|
| 配信文の作成 | 配信の目的、日付や価格などの事実、守りたい言い回し | 文案の作成、誤字や日付の照合 | 採用する案、表現の最終判断 | 配信文案と確認メモ |
| 予約配信 | 確定した配信文、配信日時、配信先の希望 | 管理画面への入力、配信前の確認画面の点検 | 配信日時、配信先、配信ボタンを押す人 | 入力内容のスクリーンショットまたは一覧 |
| 応答メッセージの設定 | よくある質問、返答してよい内容、返答しない内容 | キーワードの整理、応答文の作成、設定の入力 | 自動で返す範囲、人が返す範囲 | キーワードと応答文の対応表 |
| タグ付け | タグの使い道、付けてよい条件、情報の取り扱い方針 | タグ名の設計案、付与ルールの文書化 | どの情報をタグにするか | タグ一覧と付与ルール |
応答メッセージについては、公式のマニュアルに、メッセージの内容に関わらず返信する「一律応答」と、設定したキーワードと完全一致するメッセージを受信したときに返信する「キーワード応答」の2つの種類が記載されています。特定の期間だけ送りたい場合は「スケジュールを設定する」にチェックを入れて期間を入力する、とも記載されています(LINEヤフー for Business「応答メッセージ」マニュアル、2026年10月6日取得)。キーワード応答は完全一致で反応するため、依頼主のお客様が実際に打ちそうな言い方を事前に聞いておく必要があります。
タグ付けについても、公式のコラムに、チャットルームごとにユーザーに紐づく任意のタグを設定でき、タグ名の例として来店頻度や顧客属性、居住エリアが挙げられています。特定のタグを設定したユーザーを対象にメッセージを配信することもできる、とされています(LINEヤフー for Business「タグ」「ノート」機能のコラム、2026年10月6日取得)。タグは友だち一人ひとりに付ける情報なので、どの情報を付けてよいかは依頼主と先に決めます。
依頼主から受け取る権限の種類と受け取り方
LINE公式アカウントでは、管理画面にログインして運用するメンバーに権限を付与します。運用代行では、依頼主のアカウントに請け負う側をメンバーとして追加してもらう形で権限を受け取ります。
公式の権限設定マニュアルには、1アカウントに対して100人までメンバーを登録でき、1人のユーザーが管理できるアカウントは100個までと記載されています。PC版の管理画面では「設定」の「権限管理」から「メンバーの追加」を選んで認証用のURLを発行し、それを追加したい人に共有します。認証用のURLは発行から24時間で失効し、1回の発行につき1人のユーザーだけが使えます。追加される人は、LINEログイン用のメールアドレスを設定しておく必要があります(LINEヤフー for Business「権限設定」マニュアル、2026年10月6日取得)。
この流れは、依頼主と請け負う側の双方に作業があることを意味します。依頼主は管理画面で認証用URLを発行して共有し、請け負う側は24時間以内に開いてログインを完了します。URLを共有するときは、第三者に見られにくい連絡手段を選び、使い終わったURLを残さないようにします。依頼主がPCの管理画面に慣れていない場合は、画面共有をしながら一緒に進める日程を先に取っておくと、24時間の期限に間に合わせやすくなります。
権限の名称としては、公式のコラムに「管理者」と「運用担当者」の2つが記載されています。認証済アカウントの申請では、管理権限が「運用担当者」の場合は申請できず、管理権限が「管理者」の人に依頼するよう記載されています(LINEヤフー for Business「認証済アカウント」申請の注意点、2026年10月6日取得)。つまり、権限によって管理画面でできることに差があります。権限ごとの操作範囲の一覧は、この記事では公式ページから確認できた範囲を超えて書かないため、受け取る権限で配信や設定が実際にできるかは、依頼主の管理画面の権限設定で確かめてください。
運用代行では、請け負う業務に必要な範囲の権限だけを受け取るのが基本です。配信文の案を作るだけなら管理画面の権限を受け取らずに文案だけを納品する方法もあり、設定まで請け負う場合に初めて権限を受け取る、という段階の分け方もできます。権限を何にするかは、依頼主と話し合って契約書や合意メールに残します。
権限を受け取る前に決めておく任せる範囲の線引き
権限を受け取ることは、操作できる状態になることであって、何でも自分の判断で行ってよいという意味ではありません。どの操作を請け負う側が行い、どの操作に依頼主の承認が要るかを、業務ごとに文章で決めておきます。
配信は、友だち全員に同じ内容が届く操作です。送ってしまった後に取り消しにくい点は他の事務作業と違うため、配信に関する線引きは特に丁寧に決めます。次の表は、線引きの案を操作ごとに整理したものです。実際に採用するかどうかは、依頼主の運用方針や担当者の人数に合わせて決めてください。
| 操作 | 請け負う側が単独で行ってよいか | 決め方の例 |
|---|---|---|
| 配信文案の作成 | 行ってよい | 依頼主に渡す前に、日付・価格・名称を元資料と照合する |
| 配信の予約入力 | 依頼主の承認後に行う | 採用する案を依頼主がメッセージで指定してから入力する |
| 配信の実行 | 契約で任せると決めた場合だけ | 配信前の確認画面を依頼主が見たうえで実行する、と取り決める |
| 応答メッセージの追加・変更 | 依頼主の承認後に行う | 返信してよい内容の一覧を先にもらい、その範囲だけ設定する |
| タグの付与・変更 | 付与ルールに沿って行う | ルールにない判断が必要な友だちは依頼主に確認する |
| 権限の変更・メンバーの追加 | 行わない | 権限の管理は依頼主が行う |
この表で大事なのは、承認の方法を文章に残すことです。電話や口頭で「それでお願いします」と言われただけでは、後から「その表現は承認していない」と食い違ったときに確認できません。承認はLINEのメッセージやメールなど、日時が残る手段で受け取ります。
依頼主の側に担当者が複数いる場合は、承認する人を1人に決めておきます。承認者が決まっていないと、2人から別々の修正指示が届いて、どちらを優先するかの判断を請け負う側が背負うことになります。承認者の名前と、不在のときの代わりの人も、契約時に聞いておきます。
AIで配信文のドラフトを作るときの進め方
配信文の作成にAIを使うときは、AIに文案の作成と言い換えを任せ、事実の確認と採用の判断は人が行います。AIは元の資料にない日付や価格を補うことがあるため、出力をそのまま配信しないことが前提です。
AIに渡す指示は、材料を先に固定してから文章の形を指定すると安定します。たとえば、配信の目的、日付や価格などの事実、入れたい語句、避けたい言い回し、文字数の目安の順に書きます。事実の欄に書いた内容だけを使うようにAIに指示し、書いていない内容は補わないよう伝えます。
仮の例として、定休日のお知らせの指示文を示します。「目的:来月の定休日の案内。事実:11月の定休日は第2・第4月曜日、そのほかは通常営業。入れる語句:いつもご利用ありがとうございます。避けたい言い回し:急かす表現。文字数:200字程度。事実の欄にない内容は書かないでください」という形です。AIの出力が届いたら、日付と曜日が事実の欄と一致しているかを、依頼主から受け取った元の資料と見比べます。
確認するときは、文章の自然さよりも、次の順で事実を点検します。まず日付・曜日・時刻、次に価格・割引率・条件、最後に店名や商品名の表記です。AIは丁寧な言い回しに整えるのが得意でも、数字の取り違えには気づかないことがあるため、数字は人の目で元資料と照らします。
配信文は、依頼主の言葉遣いに合わせて整えるほど、友だちに違和感を与えにくくなります。依頼主が過去に配信した文面を数通もらい、語尾や絵文字の使い方、署名の入れ方をAIへの指示に添えると、同じ口調で案を作りやすくなります。ただし、過去の配信文の中に個人名や連絡先が含まれていないかは、AIに渡す前に確かめます。次の章で、AIに渡してよい情報の考え方を整理します。
AIに渡してよい情報と渡さない情報の考え方
運用代行で預かる友だちの情報は、依頼主が管理する個人データにあたることがあります。請け負う側は、委託された業務の範囲内でだけ個人データを扱う必要があるため、AIに入力する情報も、業務に必要な最小限にとどめます。
個人情報保護委員会のQ&Aには、委託先は委託された業務の範囲内でのみ個人データを取り扱う必要があり、委託元からの指示がない限り、個人データを自社のために統計情報に加工して利用することはできない、と記載されています(個人情報保護委員会「個人情報保護法 Q&A」、2026年10月6日取得)。運用代行で預かる友だちの情報を、請け負った配信業務以外の目的で使わないことは、この考え方に沿った扱いです。
配信文の案を作る段階では、友だち一人ひとりの氏名やトーク内容をAIに入れる必要は、ほとんどありません。商品の説明や日付、全員に共通の案内文といった、個人が特定されない情報だけで足ります。個別のトーク内容をもとに返信案を作る場合は、AIのサービスに入力してよいかを依頼主に確認し、入力する内容も依頼主の承認を得た範囲に限ります。
実務では、AIに渡す前に次の3点を自分に問いかけます。この情報は氏名・連絡先・来店履歴など個人を特定できるものを含むか。この情報は請け負った業務に本当に必要か。依頼主はこのAIサービスへの入力を了承しているか。1つでも答えが曖昧なら、その情報は入力せず、伏せ字にしたり、一般的な言い方に置き換えたりします。
AIのサービスごとに、入力した内容の扱いは異なります。利用するサービスの規約や設定画面で、入力内容が学習などに使われるかどうかを確かめ、依頼主に説明できる状態にしておきます。説明の内容は、契約書の付属資料や合意メールとして残しておくと、後で確認されたときに示せます。
配信前の確認手順:テスト配信と確認者を決める
配信前の確認は、文面の点検、テスト配信での見え方の確認、依頼主の承認の3段階で行います。送ってしまった後に直しにくい操作だからこそ、確認の順番と担当者を事前に決めておきます。
公式のマニュアルには、配信前のメッセージを確認画面から「テスト配信」できることが記載されています。LINEアカウント連携が済んでいる場合、テスト配信先は「自分」または「すべての管理者と運用担当者」から選べ、連携が済んでいない場合は管理者および運用担当者のうち、LINEアカウント連携をしたアカウントにだけ配信される、と説明されています(LINEヤフー for Business「テスト配信」マニュアル、2026年10月6日取得)。運用代行では、請け負う側のスマートフォンで見え方を確かめ、依頼主にも同じ見え方を確認してもらう使い方ができます。
確認の3段階は、次の順に進めます。1段階目は文面の点検で、日付・価格・名称・リンクが依頼主の元資料と一致しているかを確かめます。2段階目はテスト配信で、改行の位置や画像の表示が意図どおりかをスマートフォンの画面で見ます。3段階目は依頼主の承認で、確認画面かテスト配信の画面を見てもらい、承認の文面を残します。
絞り込み配信を行う場合は、配信先の設定も確認の対象です。公式のマニュアルには、配信先としてオーディエンス、過去の配信、属性の3つが挙げられています。オーディエンスは1つのメッセージに10個まで追加でき、属性で絞り込むにはターゲットリーチ数が100人以上必要で、属性情報はおおむね3日前のものを基にし、配信設定時に表示される推定配信数は概算値である、とされています(LINEヤフー for Business「絞り込み配信」マニュアル、2026年10月6日取得)。推定配信数は概算値なので、実際の配信先と依頼主が想定している範囲が合っているかは、設定の内容を文章で見比べて確かめます。
配信後の確認も忘れずに行います。配信予定の時刻を過ぎたら、依頼主のスマートフォンまたは請け負う側のテスト用アカウントで、メッセージが届いているかを見ます。内容に誤りが見つかった場合に、誰が依頼主へ連絡し、訂正の配信をするかどうかを誰が決めるかも、契約の段階で決めておくと慌てずに済みます。
契約で決めておく項目:取引条件の9項目
フリーランスに業務を委託する側には、取引条件を書面または電磁的方法で明示する義務があると、公正取引委員会の特設サイトに記載されています。運用代行を請け負う個人は、この項目を契約書や合意メールの雛形として使えます。
公正取引委員会のフリーランス法特設サイトでは、この法律でいう「フリーランス」を、業務委託の相手方である事業者で従業員を使用しないもの、と定義しています。発注事業者は、取引条件を直ちに書面または電磁的方法(メール、SNSのメッセージ等)で明示する義務があり、口頭での明示は認められていません。明示すべき事項として、同じページには9つが挙げられています(公正取引委員会「フリーランス法特設サイト」、2026年10月6日取得)。この法律が自分の依頼に当てはまるかどうかは、依頼主の事業の形や自分の働き方によって変わるため、この記事では判断せず、同ページで確かめてください。
次の表は、同ページが挙げる9つの事項を、LINE公式アカウントの運用代行に当てはめたときの書き方の例として示したものです。右の列は、この記事の筆者が考えた書き方の例であり、公式ページの記載ではありません。
| 明示事項(公正取引委員会のページの記載) | 運用代行での書き方の例 |
|---|---|
| 給付の内容 | 月に何本の配信文を作るか、予約入力・応答メッセージ・タグ付けのどれを含むか、修正は何回までか |
| 報酬の額 | 月額固定か、配信1本ごとか、設定作業の費用を分けるか |
| 支払期日 | 請求書の発行日と、支払いの期日 |
| 業務委託事業者・フリーランスの名称 | 依頼主の事業者名と、請け負う側の名前(屋号を使う場合は屋号) |
| 業務委託をした日 | 契約を結んだ日、または依頼を確定した日 |
| 給付を受領する日・役務の提供を受ける日 | 配信文案の納品日、設定を行う日、運用期間の開始日 |
| 給付を受領する場所・役務の提供を受ける場所 | 納品の方法(メール、チャットなど)と、LINEの管理画面での作業であること |
| 検査完了日(検査をする場合) | 依頼主が文案を確認して承認する期限 |
| 報酬の支払方法に関して必要な事項(現金以外の方法で支払う場合) | 銀行振込以外で支払う場合の方法と手数料の負担 |
同じページには、報酬の支払期日は、発注した物品等を受け取った日から数えて60日以内のできる限り短い期間内で定める必要がある、とも記載されています。運用代行は月ごとの役務の提供が中心なので、月末締めの翌月払いのように、いつの作業をいつ支払うかを具体的な日付で書いておきます。
この表の9つに加えて、運用代行に特有の取り決めも契約書に入れておくと安心です。配信文の著作物の扱い、預かった権限とログイン情報の返却方法、契約終了時にメンバーから外す手順、配信ミスが起きたときの連絡と対応の流れ、AIを使うことの説明と了承の5点です。契約や取引の細かな法律上の判断が必要な場合は、同ページが案内している「フリーランス・トラブル110番」など、弁護士に無料で相談できる窓口もあります。
料金プランの確かめ方:誰の契約で、どのプランか
LINE公式アカウントの料金プランは、アカウントの持ち主である依頼主の契約として設定されます。運用代行を請け負う側は、現在のプランと、配信する通数がその枠に収まるかを、依頼主の管理画面で確かめてから配信計画を立てます。
公式の料金プランのページには、次の3つのプランが掲載されています。いずれも2026年10月6日に取得した内容で、月額固定費は税別の表記です。コミュニケーションプランは月額固定費0円、月間無料メッセージ200通で、開設時に設定されているプランです。ライトプランは月額固定費5,000円(税別)、月間無料メッセージ5,000通です。スタンダードプランは月額固定費15,000円(税別)、月間無料メッセージ30,000通で、追加メッセージを従量課金で配信できます。コミュニケーションプランとライトプランでは追加メッセージの配信はできません(LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント 料金プラン」、2026年10月6日取得)。
| プラン名 | 月額固定費(円) | 月間無料メッセージ通数 | 追加メッセージ |
|---|---|---|---|
| コミュニケーションプラン | 0円 | 200通 | 配信できない |
| ライトプラン | 5,000円(税別) | 5,000通 | 配信できない |
| スタンダードプラン | 15,000円(税別) | 30,000通 | 従量課金で配信できる |
追加メッセージの単価は、同じページに、配信数によって異なると記載されています。また、同ページには追加メッセージ料金の改定日として2026年10月1日、プレミアムIDの料金改定日として2026年12月1日の記載もあります。追加メッセージを使う計画を立てるときは、この記事の表ではなく、契約する時点の公式ページの表示と、依頼主の管理画面に表示されるプランの内容を確かめてください。
運用代行で意識したいのは、プランごとに月間の無料メッセージ通数の枠が決まっている点です(LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント 料金プラン」、2026年10月6日取得)。通数の数え方は、このページの範囲では確認できていないため、配信計画を立てる前に公式のマニュアルで確かめます。そのうえで、友だちの人数と月の配信回数を依頼主に先に聞いておけば、配信計画がプランの枠に収まりそうかを話し合えます。
プランの変更や費用の支払いは、アカウントの持ち主である依頼主が行うのが自然です。請け負う側が自分のクレジットカードでプラン費用を立て替えたり、プランの変更を独断で行ったりしないよう、契約書に「プランの契約と費用の支払いは依頼主が行う」と書いておきます。運用代行の報酬とLINE公式アカウントのプラン費用は別のお金なので、請求書でも分けて書きます。
運用代行を請け負う前の準備と最初の1件の進め方
最初の依頼は、小さな範囲に絞って請け負い、取り決めた確認の流れを一度通してみるのが進めやすい方法です。範囲を広げるのは、依頼の受け取りから納品、修正対応までを経験してからでも遅くありません。
請け負う前の準備は、次の順で進めます。最初に、依頼主から運用の目的と現状の配信の頻度を聞きます。次に、請け負う業務を、先ほどの4つの業務から1つか2つに絞ります。3つ目に、権限の受け取り方と承認の方法を決めます。4つ目に、取引条件を文章にして合意します。5つ目に、プランと配信の通数を確かめます。この順番にすると、契約を結ぶ前に不安な点が出そろいます。
仮の例として、最初の依頼の進め方を、順を追って示します。まず打ち合わせを行い、請け負う業務を配信文の作成と予約入力の2つに決めて、取引条件を合意メールで確定します。次に権限を受け取り、依頼主の管理画面で現在のプランと過去の配信の様子を確認します。その後、最初の配信文案を2案渡して、承認を受けた案を予約入力し、テスト配信で見え方を確認します。最後に配信結果を依頼主と振り返り、翌月の配信予定を相談します。
この進め方は、全部を最初から請け負うのではなく、配信文の作成と予約入力のように、確認しやすい業務から始めます。応答メッセージやタグ付けは、依頼主のお客様とのやり取りに直接影響するため、配信の運用に慣れてから追加すると、確認の負担が小さくなります。
案件の探し方や、オンライン秘書としてどの一業務から始めるかを考えたい場合は、あわせて次の記事も役立ちます。事務の副業での取り決めはAI事務の副業の始め方|受ける前に依頼主と決める7つの取り決めと確認先に、仕事内容の棚卸しはAIオンライン秘書の仕事内容と最初に選ぶ一業務|経験・時間・確認者で棚卸しにまとめています。
運用代行でトラブルになりやすい場面と防ぎ方
運用代行のトラブルは、技術的な失敗よりも、取り決めの食い違いから起きることが多くあります。起きやすい場面を先に知っておくと、契約と確認の段階で防げます。
1つ目は、配信内容の食い違いです。依頼主が承認した案と、実際に配信された内容が違うと、責任の所在が曖昧になります。承認を受けた文面をそのまま配信する、承認後に文面を変えるときは再度承認を取る、という2点を決めておくと防げます。
2つ目は、範囲の広がりです。配信文の作成を請け負ったのに、写真の加工、キャンペーンの企画、お客様への個別返信まで頼まれるようになるケースです。契約書に請け負う業務を書き、書いていない依頼は追加の見積もりとして扱う、と合意しておきます。
3つ目は、権限の残りです。契約が終わった後も権限が残っていると、依頼主にとっても請け負う側にとっても不安の種になります。契約終了時にメンバーから外してもらう日を決め、外れたことを依頼主の画面で確認してもらいます。権限を外す操作は依頼主が行う、という整理を先にしておくと、請け負う側が操作を求められずに済みます。
4つ目は、AIの出力の取り違えです。AIが日付や価格を取り違えた文案をそのまま渡してしまうと、友だち全員に誤った案内が届くことになります。事実の欄を元資料から作り、出力と照合するという確認の手順を、毎回同じ順で行うことが基本の対策です。
これらの場面に共通するのは、決めたことを文章で残すという点です。手順や承認の履歴が残っていれば、食い違いが起きたときにも、事実を確認しながら話し合えます。事務の副業全般の取り決めはAI事務の副業の始め方|受ける前に依頼主と決める7つの取り決めと確認先でも整理しています。
よくある質問(FAQ)
- Q1. LINE公式アカウントの運用代行は、資格がなくても始められますか?
- 運用代行という名称の公的な資格は、この記事で確認した公式ページには記載されていません。依頼主の管理画面で必要な権限を受け取り、取り決めた範囲の作業を行う仕事なので、まず請け負う業務と権限、確認の流れを契約で決めることが出発点になります。税務や法律の判断が必要な相談は、運用代行の範囲に含めず、専門家に案内します。
- Q2. 依頼主のLINE公式アカウントに、どうやって入れてもらえばよいですか?
- 公式の権限設定マニュアルでは、PC版の管理画面で「設定」の「権限管理」から「メンバーの追加」を選び、認証用URLを発行して共有する手順が説明されています。認証用URLは発行から24時間で失効し、1回の発行につき1人だけが使えます。追加される側はLINEログイン用のメールアドレスを設定しておく必要があります。
- Q3. AIで作った配信文は、そのまま配信してよいですか?
- そのまま配信するのは避けます。AIは元の資料にない内容を補うことがあるため、日付・曜日・価格・名称を依頼主の元資料と照合し、テスト配信で見え方を確かめ、依頼主の承認を受けてから配信します。承認は日時が残るメッセージやメールで受け取ります。
- Q4. 友だちの情報をAIに入力してもよいですか?
- 配信文の案を作る段階では、個人が特定される情報を入力する必要はほとんどありません。個人情報保護委員会のQ&Aでは、委託先は委託された業務の範囲内でのみ個人データを取り扱う必要があるとされています。個別のトークをもとにする作業でAIを使う場合は、依頼主の了承を得た範囲に限り、入力する内容を最小限にします。
- Q5. LINE公式アカウントの料金プランは、誰が契約するのですか?
- アカウントの持ち主である依頼主が契約するのが自然です。公式の料金プランのページには、コミュニケーションプラン、ライトプラン、スタンダードプランの3つが月額固定費と月間無料メッセージ通数とともに掲載されています。請け負う側が費用を立て替えたり、プランを独断で変更したりしないよう、契約書に費用の負担者を書いておきます。
- Q6. 契約書がない口約束で始めても問題ありませんか?
- 口約束だけで始めるのは避けます。公正取引委員会の特設サイトには、発注事業者はフリーランスに対して取引条件を書面または電磁的方法で明示する義務があり、口頭での明示は認められていないと記載されています。この法律が自分の依頼に当てはまるかどうかにかかわらず、業務の範囲・報酬・支払期日・承認の方法は、メールなど記録が残る形で合意しておくと、後の食い違いを防げます。
まとめ:決めることを順番に並べてから、最初の1件を請け負う
LINE公式アカウントの運用代行は、配信文の作成、予約配信、応答メッセージの設定、タグ付けといった業務を、依頼主の管理画面の権限を受け取って行う仕事です。請け負う前に、業務の範囲、受け取る権限、承認の方法、AIに渡す情報の範囲、契約の取引条件、料金プランの契約者を、順番に決めておきます。
配信は取り消しにくい操作なので、文面の点検、テスト配信、依頼主の承認という確認を毎回行います。権限ごとの操作範囲や料金は変更されることがあるため、契約の前には公式ページと依頼主の管理画面で現行の表示を確かめてください。最初の依頼は、配信文の作成と予約入力のように確認しやすい範囲に絞ると、一通りの流れを無理なく経験できます。
はじめての方向けの記事は、カテゴリーSNS・LINE運用サポートに順次まとめていきます。契約まわりは受託実務と仕事の進め方、事務へのAI活用は事務・経理のAI活用、全体の入口はAIオンライン秘書の始め方にあります。まずは今日、請け負う業務を1つか2つに絞り、承認者と承認の方法を書き出すところから始めてみてください。
